スタッフコラムリレー「母の介護」

陰陽調和料理講座講師、兼スタッフの齋藤美保です。
子供達は2人とも社会人となり、一昨年の7月に下の娘も一人暮らしをするため家を出たのですが、その1週間後、一人暮らしの母(当時79歳)が急に歩けなくなりました。右足と右手に力が入らなくなり、車を運転してかなり怖い思いで帰ってきたそうです。
その1年半前から力が入らない状態となり、整形外科で調べたら頸椎が原因だとわかり、手術をすすめられたのですが、生活に支障がなかったため、他の方法で改善できないかと、先延ばしにしていたのです。
急遽手術が決まり入院することになりました。
手術は成功したけれど、入院中は車椅子の移動となり、抜糸まで入院と言われていたのが、一人で歩けるようになるまで入院と延びてしまいました。
リハビリ以外は一向に一人で歩かせてくれず、トイレに行くのも看護師を呼ばなくては行けず、対応の悪い看護師もいたようです。コロナ禍で面会もできません。手足が不自由なこと以外は問題ないのに、ベッドの上での入院生活を強いられ、1ヶ月色々辛い思いもしたようで、ソーシャルワーカーの方に相談して、退院させてもらいました。
 
退院の日、車椅子から車に乗せ、果たして歩けるのだろうかと(実家は2階が玄関のため階段を上らないといけないのです)、前日から不安でしたが、なんとか手すりをつたって、家の中へ入ることができました。家の中では、トイレにも歩いて行けたので、一安心。あとは、リハビリに通い、日常生活を取り戻し、体力を回復させるしかありません。
家の近所の整形外科でリハビリが始まりました。駐車場から、病院までの3分くらいの道のりを、母と手を繋いで歩きました。横断歩道は特に怖いらしく、手をぎゅっと強く握ってきます。「母と手を繋いで歩く日が来るなんて」と、初日は切なくて、帰宅してからしばらく放心状態でした。
その後、平坦な道なら一人で歩けるようになりましたが、横断歩道やガタガタした道は怖いらしく手を繋いできます。
家の中では、一人でも生活はできますが、右手に力が入らないので料理は作りません。姉と交代で、家事をしに行ったり、買い物や病院へ連れて行くようにしています。姉も私も仕事があるので、タクシーを呼んで、友達との会食に出かけることもあります。
 
それまでは、子供たちが車やバイクで出かける時など、無事に帰ってくることを案じていたのに、今では母が一人で外出して無事に行って帰って来れるかを案じるようになりました。
去年の3月、叔父(母の兄)が亡くなりました。同じ症状で頸椎の手術をしていて、叔父は結局手術をしても歩けなかったそうです。その後、ガンも見つかり、寝たきりのまま亡くなりました。
手術をしても歩けなかった叔父を想えば、母と手を繋いで歩くことくらい大した事ではありませんし、永遠ではないので、今の状態が長く続くことを願うこの頃です。
 
(写真は、Umiのいえ横浜サロンの階段のところにいたネコちゃんとカエルちゃん。我が家で引き取り元気にしています)